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動画はMP4形式です。必ず「体験版ダウンロード」にて再生できるかご確認をお願い致します。
本作のダウンロードに時間がかかる場合がございます。予めご了承をお願い致します。

## 砂浜に刻む、初めての夏

「マジかよ…」

朝比奈悠は、スマートフォンの画面を食い入るように見つめ、何度目かのため息をついた。画面には、目を惹くようなビビッドな色彩の動画サムネイル。タイトルは、あまりにも直接的で、脳裏に焼き付いて離れない。

「キモメンでも巨根なら水着ギャルとリア充な夏がすごせる！～学園選抜！最高のモテカワギャル8人とパコパコ種付けビーチ！～」

冗談かと思った。いや、きっと冗談なのだ。こんなものが現実に存在するはずがない。悠は、大学の夏休みに入り、SNSで偶然見つけたこの動画に、文字通り「吸い寄せられる」ようにクリックしてしまったのだ。

「体験版ダウンロード…」

好奇心は、理性という名の壁をやすやすと乗り越えた。ダウンロードの進捗バーがゆっくりと進む間、悠の心臓は早鐘を打っていた。ダウンロードに時間がかかる、という注意書きに、何故か妙な期待感を抱いてしまう。

「これで、俺も…」

悠は、鏡に映る自分の顔をまじまじと見つめた。整っているとは言い難い顔立ち、内向的な性格、そして、彼女のいない人生。クラスでは「キモメン」というレッテルを貼られ、女子からは避けられがち。そんな悠にとって、リア充な夏は、遠い世界の出来事だった。

ダウンロードが完了した。恐る恐る、動画を再生する。

画面に現れたのは、眩しい太陽、青い空、そして、小麦色の肌をした、水着姿のギャルたち。画面いっぱいに広がる、キラキラとした世界。悠は、息を呑んだ。

「ま、マジなんだ…」

動画の内容は、タイトル通り。しかし、そこに映し出されるのは、卑猥なだけではなかった。ギャルたちは、屈託のない笑顔で海を駆け回り、砂浜で無邪気に遊ぶ。まるで、楽園。そして、そこに現れた主人公は、悠自身が想像していた「キモメン」とはかけ離れた、どこか朴訥とした青年だった。彼は、ギャルたちに囲まれながらも、戸惑い、照れながらも、懸命にコミュニケーションをとろうとしている。

「俺、俺も…ああ、俺も…」

動画が進むにつれて、悠の胸には、今まで感じたことのない熱がこみ上げてきた。それは、憧れであり、羨望であり、そして、かすかな希望だった。

「この夏こそは、変わるんだ。」

決意を固めた悠は、部屋着から着替える。クローゼットの奥から、数年前に無理やり買わされた、鮮やかな水色の水着を取り出した。着慣れない、肌に張り付くような感触。それでも、悠は鏡の前で、自分を鼓舞した。

「大丈夫。俺だって、やればできる。」

高校時代、運動部には縁がなく、学生時代はもっぱら読書やゲームに没頭していた悠。しかし、大学に入り、何かが変わり始めた。それは、この動画がもたらした、漠然とした「何か」だったのかもしれない。

悠は、カバンにタオルと日焼け止めを詰め込み、最寄りのビーチへと向かった。

砂浜に足を踏み入れた瞬間、潮風が頬を撫で、波の音が耳に心地よく響いた。太陽の光が、砂浜をキラキラと照らし、遠くには、楽しそうに遊ぶ人々の声が聞こえる。

「すごい…」

動画で見た世界が、目の前に広がっていた。

周りを見渡せば、想像以上に多くの人々が、思い思いに夏を楽しんでいる。カップル、家族連れ、そして、キラキラと輝く水着姿のギャルたち。悠は、少し気圧されながらも、奥へと進んでいく。

「あの…」

勇気を出して、近くにいたギャルに話しかけようとした、その時。

「ねぇ、そこのあなた！」

元気な声が、悠の背後から飛んできた。振り返ると、そこには、動画で見たような、明るい笑顔のギャルが立っていた。彼女は、太陽のような輝きを放ち、周りの空気を一瞬で明るくした。

「え、僕ですか？」

悠は、思わず自分の指を指した。

「そうよ！あなた、なんだか面白そうな顔してるわね。」

ギャルは、屈託なく笑う。その笑顔に、悠は思わず顔が赤くなるのを感じた。

「あの、僕…」

「私、杏奈っていうの！あなた、名前は？」

「あ、朝比奈…悠です。」

「悠ね！ nice to meet you！ ちょっと、私たちとバレーしない？」

杏奈は、悠の手を掴み、有無を言わさず、砂浜の奥へと引っ張っていく。悠は、戸惑いながらも、杏奈の勢いに流されていく。

「え、でも、僕…」

「大丈夫よ！ みんな、初心者歓迎なんだから！」

杏奈に連れられてたどり着いたのは、数人のギャルたちが集まっている場所だった。彼女たちもまた、皆、笑顔が眩しい。悠は、緊張で手が震えるのを感じながら、杏奈の紹介を受けた。

「この子、悠くん！ 新しく仲間入りよ！」

「よろしく～！」

「うわ、イケメン！…いや、ちょっと違うか（笑）」

「でも、なんか、ほっとけない感じ！」

ギャルたちは、悠に気さくに話しかけてくる。悠は、今まで経験したことのない、温かい歓迎の雰囲気に、戸惑いながらも、少しずつ緊張がほぐれていくのを感じていた。

バレーが始まった。悠は、運動神経に自信がなかったが、ギャルたちは、悠のミスを笑い飛ばし、励まし続けてくれた。杏奈は、悠の隣で、楽しそうにボールを追いかける。

「悠くん、ドンマイ！」

「もっと、こっち！ そこ！」

彼女たちの声援が、悠の背中を押し、今まで感じたことのない高揚感を与えてくれた。汗をかき、砂まみれになりながら、悠は、純粋に楽しんでいた。

昼食の時間になった。ギャルたちは、それぞれ持ってきたお弁当を広げ、賑やかなピクニックが始まった。悠は、緊張しながらも、杏奈と話すうちに、少しずつ打ち解けていく。

「悠くんって、普段何してるの？」

「えっと、大学で…」

悠は、自分の趣味や、普段の生活について話した。ギャルたちは、悠の話に興味津々に耳を傾け、時には、鋭いツッコミを入れることもあった。

「えー、読書ばっかり？ もったいない！ もっと外に出ないと！」

「ゲームもいいけど、現実の冒険も楽しいんだから！」

彼女たちの言葉は、悠の心に響いた。今まで、自分の中で当たり前だと思っていた世界が、少しずつ色褪せていくような感覚。

夕暮れ時。ビーチは、オレンジ色の光に包まれていた。ギャルたちは、花火の準備を始めた。悠も、手伝う。

「悠くん、火、つけてくれる？」

杏奈が、火のついた花火を悠に渡す。悠は、震える手で、空に向かって花火を打ち上げた。

「わー！ きれい！」

夜空に咲く花火を見上げながら、悠は、杏奈の横顔を見た。彼女の笑顔は、花火の光に照らされて、さらに輝いて見えた。

「あの…杏奈さん。」

「ん？ なに？」

「今日は、本当に…ありがとうございました。」

悠は、精一杯の感謝の気持ちを伝えた。

「ううん！ こちらこそ、楽しかったよ！ また、明日も来ようね！」

杏奈は、満面の笑顔で言った。

「え…また？」

「もちろん！ 私たち、この夏、悠くんのこと、もっともっと楽しませてあげるんだから！」

杏奈の言葉に、悠の心臓が大きく跳ねた。それは、期待感と、少しの戸惑いが入り混じった、初めての感覚だった。

動画のタイトルにあった「キモメンでも巨根なら水着ギャルとリア充な夏がすごせる！」という言葉が、頭をよぎる。しかし、今の悠は、そんな言葉の裏に隠された、もっと純粋な「楽しさ」や「繋がり」を感じていた。

砂浜に刻む、初めての夏。それは、悠の人生において、忘れられない、輝かしい一日となった。そして、この夏は、まだ始まったばかりなのだ。