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## 砂漠の王女と堕ちた騎士、そして禁断の果実

蒼炎が燃え盛る夜、王都の最深部にある豪奢な玉座の間は、血と硝煙の匂いで満たされていた。反乱軍の旗印が、かつて誇り高かった王家の紋章を蹂躙するように掲げられている。その中心に立つのは、細身ながらも冷酷な輝きを放つ悪役令嬢、リディア。彼女の隣には、顔に無数の傷を刻み、獣のような咆哮をあげる屈強な男、バルドルが控えていた。

「これで、この王国の頂点は私のものだ」

リディアの嘲笑が、静寂を破る。その声は、まるで獲物を嬲る蛇のようだった。

私は、この玉座の間にひざまずく、かつての栄光を失った騎士、ライナス。リディアの母、女王セラフィナの寵愛を一身に受け、王国の盾とまで謳われた私だが、今は彼女の、そしてその娘の、ただの下僕に成り下がっていた。

「ライナス、お前にも報酬をやろう」

リディアは、私の顔を覗き込み、冷たく微笑む。その手には、血に濡れた短剣。

「私の母を裏切ったお前には、それ相応の…」

その言葉は、聞き終える前に、私の喉元に突きつけられた短剣によって遮られた。しかし、それは私を殺すためではなかった。リディアは、私に短剣を突きつけながら、バルドルに命令する。

「バルドル、この男を、私の産む子供の…種馬にしろ」

その言葉に、私の全身を激しい戦慄が駆け抜ける。絶望。屈辱。そして、微かな、しかし抗いがたい興奮。

「…承知いたしました、姫様」

バルドルは、リディアの命令に忠実に従い、私の首筋に噛み付いた。その獣のような雄叫びが、私の耳朶を打つ。

私は、リディアの母、女王セラフィナに仕えていた。彼女は、美しく、賢く、そして恐ろしいほどに冷徹な女性だった。彼女の愛情を一身に受け、私は彼女の忠実な騎士として、王国のために戦い、そして、彼女の欲望を満たすだけの存在だった。

「ライナス、お前は私のものよ。誰にも渡さない」

セラフィナは、そう言って私を抱きしめた。その温もりは、私にとって何よりも安らぎだった。しかし、その安らぎは長くは続かなかった。リディアの台頭。彼女は、母とは似ても似つかない、残虐で歪んだ欲望の塊だった。

セラフィナが病に倒れた後、リディアは急速に力を伸ばした。彼女は、私を父の仇と憎み、そして、私の肉体を欲した。

「お前は、私の子を産むための道具よ。それ以外に価値はない」

リディアの言葉は、冷たく、そして残酷だった。彼女は、私を実験台のように扱い、私の身体を貪った。その度に、私は屈辱と絶望に打ちひしがれた。

しかし、私は生き延びなければならなかった。リディアの母、セラフィナの最後の願いがあったからだ。

「ライナス…お願い、私の娘を…」

セラフィナは、死の床で、かすれた声で私にそう訴えた。彼女は、リディアの歪んだ心を理解し、そして、それを救うことができるのは私だけだと信じていたのかもしれない。

私は、リディアを破滅から救うために、彼女の「下僕」となった。彼女の欲望を満たし、彼女を「躾け」ることで、彼女が王国を破滅させることを回避しなければならない。

「姫様、お腹が空きましたか？」

私は、リディアの部屋へ向かう。彼女は、薄い絹の寝間着を纏い、ベッドに横たわっていた。その顔には、幼い頃の面影はなく、冷酷な女王の顔が浮かんでいる。

「早くしろ、下僕」

リディアは、私に視線を向けず、そう命じる。私は、彼女の元へ歩み寄り、用意した食事を差し出す。

「これは、姫様のために、特別に用意したものです。新鮮な果実と、蜂蜜で甘みをつけました」

リディアは、私の言葉に耳を貸さず、ただ無言で食事を口に運ぶ。その顔には、満足の色は微塵もない。

「もっと、刺激的なものが欲しい」

リディアは、食事を終えると、そう呟いた。その目は、私を獲物のように見つめている。

「私を、満足させてみろ」

その言葉に、私は、リディアの「躾け」を始める。彼女の歪んだ欲望を、歪んだ形ではあるが、満たしてあげること。それが、破滅を回避するための唯一の方法だった。

私は、リディアの身体に触れる。彼女の肌は、冷たい。しかし、その奥には、激しい情熱が秘められている。私は、その情熱を、歪んだ形で解き放つ。

「もっと、私を愛して」

リディアは、そう叫ぶ。その声には、絶望と、そして、かすかな歓喜が混じっている。

私は、リディアを抱きしめる。彼女の身体は、震えている。私は、彼女の耳元で囁く。

「姫様、あなたは、美しい。そして、強い」

その言葉に、リディアの顔が、わずかに和らぐ。

私は、リディアの「下僕」として、彼女の欲望を満たし続ける。彼女を「躾け」、彼女の歪んだ心を、少しずつ、しかし確実に、変えていく。

その道のりは、険しいだろう。リディアは、強力な力を持っている。そして、彼女の周囲には、彼女を破滅へと導こうとする者たちがいる。

しかし、私は諦めない。セラフィナの最後の願いを、私は胸に刻んでいる。

「ライナス…どうか、私の娘を…」

私は、リディアの身体を、さらに強く抱きしめる。

「姫様、あなたは、破滅などしない。私が、あなたを救う」

その言葉は、砂漠に響く一筋の希望の光のように、静かに、しかし力強く、リディアの心に届くだろう。

私は、リディアの「下僕」として、彼女を破滅から救い出し、そして、この王国に平和を取り戻す。それが、堕ちた騎士、ライナスの、最後の使命なのだから。