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人気のない夜の公園。

仕事からの帰宅途中、通り抜けようと園内に入る男。

すると公衆トイレから微かな少女の悲鳴が。

不審に思い声のする男子トイレへ向かう男。

入口に立つやいなや変質者に下着を脱がされそうになっている少女の姿が視界に入る。

躊躇することなく変質者に歩み寄る男。

応戦しようと立ち上がり拳を振り上げる変質者に対し、すかさず強烈な一撃を加える。

崩れ落ちるも隙をつきその場から逃走を図る変質者。

男が急いで変質者の後を追いかけようとしたその時、シャツを後ろから掴み懸命に男を制止する少女。

「行かないで…」

少女に懇願され仕方なくその場に留まり変質者の愚行に怒りを露わにする男。

だがその時、美海や芽依との愚行が男の脳裏をよぎる。

思わず立ち眩む男。

気を取り直し変質者に何かされたかどうかを少女に確認を取る。

すると、『何もされなかったので何かしてくれ…』と思いもよらぬ言葉を口にする少女。

変質者に何かされたかったのか?と男が問うと、男が変質者を撃退するその一部始終を目の当たりにしたことで男に惚れしてしまい、惚れた相手にだったら何をされてもいいと返す少女。

唖然とする男。

当然のことながら少女の要求を断ると、突如バッグから防犯ブザーを取り出し不適な笑みを浮かべながら無言で男に脅しをかける。

静まり返った夜に防犯ブザーなど鳴らされたら自分が変質者扱いされると困惑し仕方なく少女の要求を呑む決断をする男。

マゾ気質であるかのような少女の要求に半ば呆れながらもしっかりと少女を堪能してしまう。


再生時間:16分

CV:夕宮奏風

## 公園の闇、刹那の灯火

春の夜風が、都会の喧騒を遠ざけるように、微かに心地よく頬を撫でた。仕事帰りの瀬川啓介は、いつものように人気のない公園を抜け道にしようと、その鉄柵の門をくぐった。木々が濃い影を落とし、昼間の賑わいとは打って変わって、夜の静寂が支配する。月明かりが頼りなく地面を照らす中、啓介は慣れた足取りで園内を進んでいった。

ふと、奥まった公衆トイレの方から、微かな、しかし確かに少女の悲鳴が聞こえた。それは、恐怖に歪んだ、か細い声だった。啓介は眉をひそめ、足を止めた。夜の公園で、少女の悲鳴。それは、決して無視できるものではなかった。直感的に、危険な兆候だと悟る。声のする方へ、男子トイレへ向かう。

扉に近づくにつれ、声はより鮮明になった。そして、扉の隙間から覗いた光景は、啓介の胸を冷たくするのに十分だった。痩せた手足を持つ変質者が、幼い少女のスカートを乱暴に剥ぎ取ろうとしている。少女は抵抗するも、その力はあまりにも非力だった。

一瞬の躊躇もなかった。啓介は、自身の身に何が起こるかなど、考える余裕もなく、変質者へと歩み寄った。

「やめろ！」

怒りを込めた声が、静寂を破った。変質者は、突然の闖入者に驚き、少女から手を離し、啓介の方へと向き直った。その顔は、憎悪と狂気に歪んでいた。彼は、啓介に殴りかかろうと、砂埃を蹴立てて立ち上がった。振り上げられた拳は、啓介の顔面へと迫る。

しかし、啓介はそれを冷静に受け止めた。変質者の重心の揺らぎを見抜き、その隙に、渾身の右ストレートを顎に叩き込んだ。鈍い音が響き、変質者は呻き声を上げて崩れ落ちた。だが、彼は諦めていなかった。地面を這うように、体勢を立て直し、逃走を図ろうとする。

「待て！」

啓介が後を追おうとした、その時。

「行かないで…！」

背後から、柔らかな手が彼のシャツの裾を掴んだ。振り返ると、先ほどの少女が、涙を浮かべた瞳で、懇願するように啓介を見上げていた。その小さな手で、必死に彼のシャツを掴んで離さない。

「…」

少女の必死の訴えに、啓介は立ち止まるしかなかった。怒りに燃えていた胸の内は、少女の怯えた顔を見るうちに、少しずつ鎮火していった。だが、変質者の愚行に対する怒りは、依然として胸の奥底で渦巻いていた。

「大丈夫か？」

啓介は、少女の様子を伺うように尋ねた。少女は、首を横に振った。

「何も、されなかった…」

そう言って、少女はさらに顔を伏せた。

「何も…されなかった？」

啓介は、少女の言葉の意図を測りかねた。そして、次の瞬間、少女が口にした言葉に、啓介は凍りついた。

「だから…何か、してほしい…」

「…え？」

耳を疑うような言葉だった。少女は、顔を上げ、啓介の顔をじっと見つめた。その瞳には、先ほどの怯えとは違う、不思議な光が宿っていた。

「私…あなたが、あの人を撃退するのを見て…惚れちゃったんです。だから、あなたに、何されてもいいって…」

唖然とした。啓介は、目の前の少女が何を言っているのか、理解するのに数秒を要した。惚れた？ 一体、どういうことだ？ 訳が分からない。

「いや、でも、俺は…」

啓介が困惑して言葉を継ごうとした時、少女は、無言でバッグから、けたたましい音を立てる防犯ブザーを取り出した。そして、その無表情な顔に、不気味な笑みを浮かべた。

「鳴らしたら…あなたも、変質者みたいに、困らせることになるかも…」

静まり返った夜の公園で、防犯ブザーのけたたましい音は、啓介自身を変質者だと認識させるのに十分すぎるほど強力な証拠となるだろう。啓介は、頭を抱えた。これは、どういう状況なのだ？ 少女は、一体何を求めている？

「…仕方ない」

結局、啓介は折れた。この状況で、これ以上揉めるわけにもいかない。何よりも、少女の「何かしてほしい」という言葉の裏に潜む、尋常ならざる意志を感じ取っていた。

「いいのか？ 俺は、お前が望むような…ことしか、できないかもしれないぞ」

啓介は、遠回しに少女の言葉の真意を探ろうとした。少女は、ただ静かに頷いた。その瞳は、まるで何かを待っていたかのように、微かに輝いていた。

啓介は、覚悟を決めた。目の前の少女の、理解しがたい要求に応えることを。その瞳に宿る、マゾヒズムとも取れるような、歪んだ愛情に、啓介は半ば呆れながらも、抗うことができなかった。

夜の公園の片隅で、啓介は、少女の異様な要求に、静かに、そして、ある種の戸惑いと共に、応えていった。それは、予定外の、そして、決して忘れられない夜となった。公園の木々は、その夜の出来事を静かに見守っていた。そして、微かな月明かりだけが、その刹那の灯火を照らし出していた。