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ボイス　小花衣こっこ様　https://x.com/kokko_kohanai

シナリオ　こおろぎアトリエ様　https://x.com/scenariokoa

イラスト　乾どっ子゛様　https://x.com/doggoinu

モデリング/アニメーション　えそじま様　https://x.com/esojimajyo

効果音　ポケットサウンド様　https://pocket-se.info/

収録スタジオ:代々木バイノーラルスタジオ様　https://www.yoyogibinauralstudio.com/

制作サークル:刹那的モンタージュ　https://x.com/Momentary_M

## 雨上がりのアスファルト

夕立の後のアスファルトは、まだ濡れて光っていた。街灯の灯りが水たまりに反射し、歪んだ景色が、まるで別世界のように見えた。その景色を、静かに眺めていたのは、主人公の僕、名前は健太。二十歳、大学に通いながらアルバイトをしている、ごく普通の青年だ。

今日は特に予定もなく、一人ぼっちで街を歩いていた。そんな僕の視線は、偶然にも一つのお店に留まった。小さな喫茶店「雨音」だ。雨の日の静寂にぴったりな店名に惹かれ、思わず中に入ってみた。

店内は薄暗く、落ち着いた雰囲気。カウンター席に座ると、年老いた女性が笑顔で迎えてくれた。彼女はマスターのようで、温かいコーヒーを淹れてくれた。コーヒーを啜りながら窓の外を眺めていると、さっきまで激しい雨音を奏でていた空は、いつの間にか晴れ渡っていた。

そんな時、店内に一人の女性が入ってきた。彼女は、僕とは正反対の存在だった。鮮やかな赤いワンピースに、上品なアクセサリーを身につけ、長い黒髪を揺らしながら軽やかに歩いてくる。彼女の美しさは、雨上がりの空のように澄んでいて、それでいてどこか妖艶な魅力を持っていた。

彼女の顔は、どこかで見たような気がした。どこか懐かしく、親近感を感じた。彼女はカウンター席の僕に気づくと、少し照れくさそうに微笑んで、マスターに何かをオーダーした。

「あの…すみません」

僕は、勇気を振り絞って声をかけた。彼女は少し驚いた表情を浮かべた後、優しい笑顔で答えてくれた。

「あら、何かしら？」

彼女の柔らかな声は、まるで雨上がりの風のように心地よかった。

「あの…もしかして、花衣さん…ですか？」

僕は、震える手で、スマホの画面を見せた。そこには、先ほどまで見ていたLive2DのASMR動画のサムネイルが表示されていた。画面には、彼女のそっくりな女性が、甘く囁きながら、何かを触っている様子が映っていた。

彼女は少し頬を赤らめ、目を伏せた。

「…そう、私です」

彼女は、こっこ、と名乗った。ASMR動画で活動している、人気配信者だったのだ。僕は、彼女の動画をこっそり見ていたファンの一人だった。正直、まさかこんなところで会うとは想像もしていなかった。

こっこの声は、動画の中と同じくらい優しく、甘美だった。そして、彼女は動画の中よりもずっと美しく、魅力的だった。僕は、彼女の存在に圧倒されながらも、彼女と話を続けることができた。

彼女は、大学を卒業後、実家の喫茶店で働くことになり、アルバイトで生計を立てながらASMR動画の配信も続けていると教えてくれた。彼女は、動画の中のキャラクターとは全く違う、飾らない優しい女性だった。

僕と彼女は、その日一日中、喫茶店で話していた。彼女は、動画制作の裏話や、日々の生活の話をしてくれた。彼女は、動画で演じているような奔放な一面も持ち合わせていたが、それはあくまでもパフォーマンスであり、本質的な彼女は、慎ましく、優しい女性だった。

夕方になり、別れ際になった時、彼女は僕に言った。

「…あなたに会えて、本当に良かった」

彼女の言葉には、深い感情が込められていた。それは、単なる礼儀正しい言葉ではなかった。僕にも、彼女と同じような感情が芽生えていることを感じ取った。

雨上がりのアスファルトの上を、僕は一人歩いて帰った。彼女の言葉が、胸に響いていた。彼女は、僕に、何か特別な感情を抱いているように見えた。

次の日、僕はこっそり彼女の配信を見に行った。彼女は、いつものように甘い声で、リスナーを魅了していた。しかし、その声の奥には、何か隠された感情が感じられた。彼女は、僕を意識しているように見えた。

それから数日後、僕はこっこから連絡を受けた。彼女は、僕に、もう一度会いたいと言ってきた。

再び喫茶店「雨音」で会った彼女は、いつもと違う表情をしていた。彼女は、僕に、自分自身の複雑な心境を打ち明けた。ASMR配信者としての自分と、普通の女性としての自分との葛藤、そして、僕に対する、抑えきれない感情を。

その告白は、僕にとって衝撃的な出来事だった。しかし、同時に、彼女の言葉は、僕の心を深く揺さぶった。

雨上がりのアスファルトのように、僕の心は、新たな光を浴びていた。そして、その光の先には、僕と彼女の、未来が待っていた。それは、静かで、そして、温かい未来だった。  彼女との関係は、ゆっくりと、しかし確実に、深まっていった。  それは、ASMR動画の中のファンタジーではなく、現実の世界で生まれた、真実の物語だった。