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主人公が教師として勤める学園に通う学園生。

幼少の頃よりメイドに憧れ、ついにメイド部を設立するに至る。

普段は素直で献身的だが、時より思いがけない行動力を見せる。

桜並木の続く坂道を登り切った先に、聖ルチア学園は佇んでいた。古風なレンガ造りの校舎は、まるで絵葉書から飛び出してきたかのようだった。その学園で、私は教師として、そしてメイド部顧問として日々を過ごしていた。

私の名は、一条葵。26歳。幼い頃から、清楚で上品なメイドの姿に憧れを抱いていた。アニメや漫画で見た、凛とした佇まい、そして何よりも、他者を思いやる献身的な心。それが、私をメイドへと導いた。

聖ルチア学園には、意外にもメイド文化が根付いていたわけではない。むしろ、古風な校風から、そういったものは皆無だった。しかし、私の熱意は冷めることなく、ついに念願のメイド部を設立することに成功したのだ。

部員は、当初は私一人。だが、私の熱意に共感した、個性豊かな生徒たちが徐々に集まってきた。

部長は、真面目でおっとりとした雰囲気の、三年生、月島美咲。彼女は、古風なメイド服をこよなく愛し、完璧な所作を常に心がけている。副部長は、活発で明るい性格の、二年生の、星野陽菜。彼女は、新しいアイデアを次々と提案し、メイド部の活性化に大きく貢献してくれた。そして、一年生の、神崎凛。彼女は、少し内気だが、抜群の料理の腕前を持つ。メイド部の給仕係として、彼女の腕前は学園内で評判になった。

最初の活動は、学園祭での喫茶店経営だった。部員たちは、それぞれが得意分野を生かし、力を合わせて準備を進めていった。美咲は、完璧な接客マニュアルを作成し、陽菜は、魅力的なメニュー表をデザインした。凛は、絶品スイーツの数々を作り上げた。そして、私は、彼女たちの活動を陰ながらサポートした。

当日は、想像をはるかに超える盛況ぶりだった。部員たちは、笑顔で接客を行い、お客様を魅了した。私は、その姿を見て、大きな感動を覚えた。メイド部設立という私の夢が、現実のものとなり、そして、多くの生徒たちの心を掴んでいることに、胸がいっぱいになった。

しかし、順風満帆とはいかないのが人生というものだ。ある日、学園祭の収益に関する会計処理にミスが見つかったのだ。学園長から厳しく叱責され、メイド部は活動停止の危機に瀕した。

部員たちは、落胆していた。私も、責任を感じていた。だが、ここで諦めるわけにはいかない。私は、部員たちを集め、こう言った。

「私たちメイド部は、ただのお茶会をするだけの部ではない。お客様に喜びと感動を与え、学園に活気をもたらす存在だ。このミスをきっかけに、より完璧なシステムを構築し、メイド部の真価を示そうではないか！」

私の言葉に、部員たちの目は再び輝き始めた。私たちは、会計処理のミスを徹底的に分析し、再発防止策を講じた。そして、学園長に、私たちの反省と再起への決意を訴えた。

学園長は、私たちの真剣な態度に心を動かされたのだろう。活動停止処分は撤回され、私たちは改めて、メイド部の活動を再開できた。

その後、メイド部は様々なイベントに参加し、学園生活に彩りを添えた。卒業式での送迎、新入生歓迎会での給仕、文化祭での伝統菓子の販売など、私たちメイド部は、学園の様々な場面で活躍する存在になった。

そして、一年後。私は、卒業式に臨む部員たちを見送っていた。美咲、陽菜、凛。彼女たちは、私とメイド部を通して、大きく成長した。そして、私自身も、彼女たちから多くのことを学んだ。

彼女たちが巣立っていく寂しさはあったが、私の胸には、大きな充足感があった。メイド部設立という私の夢は、彼女たちの活躍によって、素晴らしい結末を迎えたのだ。

聖ルチア学園の桜並木は、今年も美しい花を咲かせ、新しい季節の始まりを告げていた。私は、また新しい部員たちと、メイド部を盛り上げていくことを決意した。幼い頃の夢を叶えた今、私の新たな物語が始まるのだ。メイド服に袖を通し、私は、これからも、学園の片隅で、静かに、そして力強く、輝き続けるだろう。