【エロ動画】東方少年・動画版【アダルトAVアニメ・ゲーム】

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東方少年の動画版です。

## 東方少年、風の記憶

　初夏の陽射しが、古びた木造校舎の窓ガラスを透過し、埃の舞う教室に淡い光の筋を落としていた。俺、星野光（ほしの ひかる）は、手元のノートに鉛筆を走らせながら、窓の外の緑濃い木々をぼんやりと眺めていた。夏休みまであと数週間。この静かで、どこか物憂げな空気も、もうすぐ失われてしまう。

　俺は、この山間の小さな町に生まれ育った。特別な才能があるわけでもなく、かといって極端に不器用なわけでもない。ただ、周りの連中と同じように、毎日を過ごしていた。いや、少しだけ違っていたかもしれない。俺には、人には見えないものが見える、というわけでもない。けれども、何かが、常とは違う「気配」のようなものを感じ取ることがあった。それは、古びた神社の境内を吹き抜ける風の音に宿る囁きだったり、夕暮れの公園で揺れるブランコに潜む郷愁だったり。

　そんな俺が、この町で「東方少年」と呼ばれるようになったのは、数年前のことだ。きっかけは、些細な出来事だった。

　その日、俺はいつものように、町外れにある古い廃寺の裏山を散策していた。そこは、子供の頃からの秘密基地のような場所で、誰も近づかない静寂が心地よかった。鬱蒼とした木々が生い茂り、木漏れ日が地面にまだら模様を描いている。ふと、空気がぴたりと止まったように感じた。鳥のさえずりも、風の音も消え失せた。そして、耳の奥で、微かな、しかし確かな、誰かの鼻歌のようなものが響いてきたのだ。

　「♪〜」

　それは、どこか懐かしい、しかし聞いたことのないメロディーだった。まるで、遠い昔から響いてくるような、切なくて、それでいて希望に満ちた歌。俺は、その音に導かれるように、森の奥へと足を踏み入れた。

　しばらく歩くと、苔むした石段が現れた。その上に、小さな祠があった。祠の扉は半開きになっており、中には古びた人形が一体、ちょこんと座っていた。子供の頃、この辺りで迷子になったという噂を聞いたことがある。だが、その人形は、ただ古いだけではなかった。その周りの空気が、ほんのりと温かく、そして、あの鼻歌が、そこから発せられているように感じられたのだ。

　俺は、恐る恐る祠に近づき、人形に手を伸ばした。その瞬間、冷たい風が吹き抜けた。だが、それは肌を撫でるだけの風ではなく、まるで俺の心に直接触れてくるような、不思議な感覚だった。そして、あの鼻歌が、さらに鮮明になった。

　「♪〜」

　「誰かいるのか？」

　思わず声をかけた。返事はない。しかし、人形が、ほんのわずかに揺れた気がした。そして、俺の頭の中に、言葉ではなく、感情のようなものが流れ込んできた。

　「寂しい…」

　その声は、子供のようでもあり、老人のようでもあった。俺は、それが人形から発せられているとは信じられなかったが、そこに確かに、誰かの「想い」があることを感じ取った。

　その日から、俺はあの祠に通うようになった。言葉にならない、かすかな「想い」が、俺に語りかけてくる。それは、失われた記憶、叶わなかった願い、そして、誰かを待つ切ない気持ち。俺は、その「想い」に耳を傾け、時には、ただ静かに寄り添った。

　やがて、俺が祠に通っていることが、幼馴染のサクラに知られた。「光、またあそこに行ってるの？危ないよ」と心配されたが、俺は「大丈夫だよ。あそこに、誰かいるんだ」と、うまく説明できないまま答えた。

　サクラは、俺の少し変わったところを理解してくれた数少ない一人だった。彼女は、俺が感じる「気配」や「想い」を、子供の空想だと一笑に付すことなく、真剣に受け止めてくれた。

　ある日、サクラは俺に言った。「光、もし本当に誰かがそこにいるなら、何かしてあげたいな」。

　俺たちは、その「誰か」のために、何かできることはないか、考え始めた。しかし、それが何なのか、どうすればいいのか、全く見当がつかなかった。

　そんな時、俺は図書館で古い民俗誌の本を手に取った。そこに、この辺りで語り継がれてきた、ある古い伝説が記されていた。それは、昔、この地に住んでいた少女が、ある出来事で姿を消し、その魂が、この山に留まっているという話だった。そして、その少女は、いつも歌を歌っていたという。

　「まさか…」

　俺は、あの鼻歌と、祠の人形、そして伝説を結びつけた。

　「サクラ、もしかしたら、あの人形は、あの伝説の少女のものなのかもしれない」

　サクラは、俺の話に真剣に耳を傾けてくれた。「でも、どうしてそこに…？そして、どうして今、光にだけ…？」

　「分からない。でも、俺には、その歌が、彼女の悲しみや、誰かを待つ気持ちに聞こえるんだ」

　俺たちは、その少女の「想い」を、どうにかして鎮めてあげたい、と思い始めた。しかし、具体的に何ができるというのか。

　そんなある雨の日、俺は一人、祠へ向かった。雨粒が木々の葉を叩き、地面に水たまりができている。森は、いつも以上に静寂に包まれていた。祠に着くと、雨に濡れた人形が、暗闇の中にぽつんと佇んでいた。

　「今日も、一人で寂しいのかい？」

　俺は、人形に語りかけた。すると、いつものように、かすかな鼻歌が聞こえてきた。しかし、その歌声は、いつもより弱々しく、悲しげだった。

　「何か、辛いことがあるのかい？」

　俺がそう問いかけると、人形の周りの空気が、ほんのりと赤く染まったような気がした。そして、俺の頭の中に、断片的な映像が流れ込んできた。

　それは、古い、しかし鮮明な映像だった。

　土砂崩れ。悲鳴。暗闇。そして、誰かが、誰かの手を掴もうとしている…

　「！！」

　俺は、息を呑んだ。それは、あの少女が、事故に遭った瞬間の記憶なのかもしれない。そして、彼女は、誰かと一緒にいた…？

　「誰かを、待っている…？」

　俺は、その「誰か」が、誰なのか、どうしても分からなかった。しかし、彼女の「想い」は、ただそこに留まり続けることを拒んでいるように感じられた。

　その夜、俺はサクラに、見た映像のことを話した。サクラは、顔色を変えずに俺の話を聞き、そして言った。

　「光、もしかしたら、彼女は、誰かが自分を探しているのを待っているんじゃないかな。その『誰か』が、彼女を見つけられないから、ずっとここにいるのかも」

　サクラの言葉は、俺の心にストンと落ちた。そうだ、彼女は一人で待っているのではなく、誰かによって見つけられることを、切望しているのかもしれない。

　数日後、俺たちは、あの伝説について、さらに詳しく調べることにした。図書館で、町史や古い新聞記事を片っ端から調べた。すると、あの少女が姿を消した時期と、町で起きたある事件が、奇妙に一致していることに気づいた。

　それは、今から数十年前、町で起きた、ある子供の誘拐事件だった。犯人は見つからず、子供は行方不明のままだった。そして、その子供の名前は、伝説の少女の名前と、驚くほど似ていたのだ。

　「まさか…」

　俺は、鳥肌が立った。もし、あの少女が、誘拐された子供だったとしたら？そして、彼女が、誰かに見つけてもらえるのを、ずっと待っていたとしたら？

　俺たちは、その子供の家族が、今も町に住んでいることを知った。しかし、もう高齢で、事件のショックからか、あまり外には出ないという話だった。

　俺は、サクラと一緒に、その家族のもとを訪ねた。緊張しながら、俺たちは、あの伝説のこと、そして、祠の人形のこと、俺が感じる「想い」のことを、正直に話した。

　最初は、怪訝な顔をしていたおばあさんが、俺の話を聞くうちに、次第に顔色を変えた。特に、俺が話した「誰かを待っている」という言葉に、目に見えて動揺していた。

　「…まさか。あの子が、まだ…？」

　おばあさんは、涙ぐみながら、震える声でそう呟いた。

　俺たちは、おばあさんに、祠へ案内した。おばあさんは、祠の人形を見ると、静かに手を合わせた。

　「…あなたは、私の…」

　おばあさんの言葉は、途切れ途切れになった。しかし、その瞳には、深い愛情と、そして、長年抱き続けてきたであろう、切ない想いが宿っていた。

　その時、祠の周りの空気が、温かい光に包まれた。いつも聞こえていた鼻歌が、いつものように響いてきた。しかし、その歌声は、もう悲しげではなかった。むしろ、穏やかで、満ち足りた響きを帯びていた。

　「ありがとう…」

　俺の頭の中に、はっきりと、しかし優しく、そんな声が響いた。それは、もう、寂しさを訴えかける声ではなかった。解放された、安堵の声だった。

　おばあさんは、涙を流しながら、人形を抱きしめた。

　「…やっと、見つけられたわね。ずっと、待っていたのね」

　その言葉を聞きながら、俺は、あの少女の「想い」が、ようやく報われたのだと感じた。彼女は、もう一人ではない。彼女の「声」は、ようやく、その「誰か」に届いたのだ。

　その日以来、祠から聞こえていた鼻歌は、もう聞こえなくなった。しかし、俺の心の中には、あの温かい光と、安堵の歌声が、ずっと残っていた。

　サクラと俺は、あの出来事を、誰にも話さなかった。それは、俺たちだけの、秘密の出来事として。

　「東方少年」と呼ばれるようになったのは、それからしばらく経ってからのことだ。何人かの友達が、「光、お前、なんか不思議なものが見えるんだって？」と、冗談半分にからかってきた。俺は、その度に、「さあ、どうだろうな」と、曖昧に笑ってごまかした。

　でも、俺は知っている。俺には、人には見えない「気配」や「想い」を感じ取ることができる。それは、決して特別な能力ではない。ただ、少しだけ、心の耳を澄ませば、誰にでも感じ取れるものなのかもしれない。

　そして、あの古びた廃寺の裏山に、俺が「東方少年」と呼ばれるようになった、あの日の風の記憶が、今も静かに、そっと息づいていることを。それは、決して消えることのない、風の音のように。