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マロン「ちょっと海に忘れ物しちゃったからでかけてくるね」

そう言い残し出ていったマロン。しかしそこで待ち受けていたのは・・・

ショートストーリー付きフルボイスムービー


夏ということで海です、そこで繰り広げられるマロンと謎の生物による孕ませ卵産み。

マロンが堕ちていく姿をご覧あれ。


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## 深海の調べ

蒸し暑い夏の午後、マロンはいつものように明るい笑顔で言った。「ちょっと海に忘れ物しちゃったから出かけてくるね！」

その言葉に、誰もが特に気に留めることはなかった。マロンは物忘れが多いことで有名だったし、海は彼女にとって庭のような場所だったから。しかし、その日のマロンは、いつもとは違う、どこか決意を秘めたような表情をしていた。

マロンは砂浜を歩き、潮の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。太陽はギラギラと照りつけ、砂は熱く、遠くで遊ぶ子供たちの歓声が響いている。そんな平和な光景の中、マロンの足取りは、どこか急いているようだった。

彼女が向かったのは、人影の少ない岩場だった。潮が引いた岩肌には、普段は海中に隠れている海藻や貝が顔を出し、独特の匂いを放っている。マロンは、岩の陰に隠れるようにして、何かを探しているようだった。

「確か、この辺に…」

彼女は呟きながら、岩の隙間を覗き込んだり、海藻をめくったりしていた。その時、彼女の指先が、何か冷たいものに触れた。

それは、艶やかな光沢を放つ、深緑色の石だった。

「これだ…！」

マロンは石を手に取り、目を輝かせた。それは、彼女がずっと探していた、特別な石だった。幼い頃、海で拾ったこの石は、彼女にとってお守りのような存在だった。しかし、数日前、海で遊んでいる最中に、うっかり落としてしまったのだ。

石を無事に見つけ、マロンは安堵のため息をついた。しかし、その時、彼女は奇妙な音に気づいた。

「キュ、キュイ…？」

それは、まるで鳥のヒナのような、弱々しい鳴き声だった。マロンは周囲を見回したが、鳥の姿は見当たらない。不思議に思いながら、彼女は音のする方に近づいていった。

音の源は、岩の陰にある小さな水たまりだった。マロンが水たまりを覗き込むと、そこには、見たこともない生物がいた。

それは、半透明の、プルプルとしたゼリー状の体を持つ生き物だった。頭部には大きな目が二つあり、小さな口からは、先ほど聞こえた鳴き声を発している。体は水中で揺らめき、まるで生きている宝石のようだった。

マロンは、その奇妙な生物に釘付けになった。こんな生き物が、この海にいるなんて、今まで知らなかった。彼女は、そっと手を伸ばし、その生物に触れようとした。

しかし、その時、生物は突然、マロンの手を掴んだ。

「きゃっ！」

驚いたマロンは、思わず手を引っ込めた。生物の体からは、粘液のようなものが分泌されており、マロンの手はヌルヌルとしていた。

次の瞬間、生物はマロンの腕に絡みつき、彼女の体に這い上がってきた。マロンは悲鳴を上げ、必死に抵抗したが、生物の力は想像以上に強かった。

「離して！　お願い、離して！」

マロンの抵抗も虚しく、生物は彼女の首筋に絡みつき、そのまま、彼女の口に侵入してきた。

「う…！」

マロンは息を呑み、抵抗しようとしたが、生物は容赦なく、彼女の喉の奥へと進んでいく。彼女は苦しみ、もがき、しかし、徐々に意識が薄れていった。

***

どれくらいの時間が経っただろうか。

マロンは、ぼんやりとした意識の中で、自分がどこにいるのかわからなかった。彼女は、冷たくて湿った場所に横たわっており、全身が重く、まるで鉛を詰め込まれたようだった。

ゆっくりと目を開けると、そこは、洞窟の中だった。洞窟の中は薄暗く、湿気が高く、独特の匂いが漂っていた。彼女の視界には、無数の光る物体が映った。それは、先ほど見た、あの奇妙な生物だった。

彼らは、マロンの周りを囲み、彼女を見つめていた。その視線は、まるで獲物を観察する捕食者のようだった。

マロンは恐怖に震えながら、体を起こそうとした。しかし、彼女の体は、まるで言うことを聞かなかった。彼女は、自分が完全に支配されていることに気づいた。

「お…お願い…誰か…助けて…」

彼女の声は、か細く、洞窟の中に虚しく響いた。

その時、彼女の腹部に、激しい痛みを感じた。

「う…あ…！」

マロンは悲鳴を上げた。彼女の腹部は、まるで何かが蠢いているように膨らみ、激しい痛みが走った。彼女は、自分が何をされているのか、理解した。

彼女は、あの生物の、卵を産むための器にされていたのだ。

絶望が、マロンの心を覆い尽くした。彼女は、自分の身に何が起こっているのか、理解することができなかった。なぜ、こんな目に遭わなければならないのか。なぜ、自分は、こんな場所にいるのか。

しかし、考えることを許される時間はなかった。彼女の体は、次々と卵を産み落としていった。彼女は、ただ苦しみ、もがき、そして、自分の意識が、徐々に薄れていくのを感じていた。

***

数日後、マロンは、海岸で発見された。

彼女は、変わり果てた姿で、意識を失っていた。彼女の腹部は異様に膨らみ、まるで妊娠しているかのようだった。しかし、彼女の体からは、生命の輝きは失われ、ただ、抜け殻のような存在になっていた。

発見者は、救急車を呼び、マロンは病院に搬送された。

医師たちは、マロンの状態を見て、驚愕した。彼女の体には、信じられないほどの数の卵が宿っており、それは、医学的に説明できるものではなかった。

医師たちは、あらゆる手を尽くして、マロンを救おうとした。しかし、彼女の状態は悪化の一途をたどった。彼女の体は、卵を産み続けるための機械と化し、彼女自身の意思は、完全に失われていた。

そして、数日後、マロンは、息を引き取った。

彼女の死は、謎に包まれていた。彼女の体に何が起こったのか、なぜ、彼女はあんな姿になっていたのか。誰にも、それを解き明かすことはできなかった。

ただ、海岸には、深緑色の石が、静かに打ち上げられていた。

それは、マロンが、海に忘れ物をして、見つけようとしていた、あの石だった。

そして、海の底では、新たな生命が、静かに誕生しようとしていた。

マロンの体から生まれた、あの奇妙な生物の卵が、やがて孵化し、海へと旅立っていくのだ。

彼女の犠牲は、無駄ではなかった。彼女は、新たな生命の誕生に、貢献したのだ。

しかし、その事を知る者は、誰もいなかった。

ただ、海は、いつものように、静かに、そして、残酷に、命を育み続けていた。

（了）