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再び"あの空間"へ訪れてしまった少女・・・

しかしそこは彼の世界だった。



※強制終了される場合はGOM Playerをお使いくださいませ。


※必ず体験版で再生出来るかを確認してからご購入くださいますようお願い申し上げます。

## 異次元の再生

少女、彩音は、再びあの感覚に襲われた。意識が溶け出し、景色が歪み、全身が重力から解放されるような浮遊感。次に気が付いた時、彼女はあの場所に立っていた。

埃っぽいコンクリートの壁、むき出しの配管、そして、どこまでも続く暗闇。彩音は震える足を踏み出し、周囲を見回した。前回、この場所に来たのはいつだったか。もう思い出せないほど、時間が経っている気がした。ただ、この場所が彼女の知る現実世界ではないことだけは、はっきりと理解していた。

前回、彩音は恐怖に駆られて逃げ出した。出口を探し、ひたすら走り続けた。しかし、見つかるのは無機質な壁と、底知れない暗闇だけだった。そして、力尽きる寸前に、意識を失い、現実世界へと戻ってきた。

今回は違った。逃げるのではなく、探索しよう。彼女はそう決意した。理由は分からない。ただ、この場所が、何らかの意味を持っているような気がしたからだ。

彩音は慎重に歩き出した。足元には、小さな石ころや砂が散らばっている。時折、どこからか水滴の落ちる音が響き、彩音の心臓を跳ね上がらせた。

しばらく歩くと、彼女は小さな部屋のような空間に辿り着いた。部屋の中央には、古びたパソコンが置かれている。ディスプレイは消え、キーボードは埃にまみれていた。彩音は恐る恐るパソコンに近づき、電源ボタンを押してみた。

奇跡的に、パソコンは起動した。古めかしい起動音が鳴り響き、ディスプレイにWindows XPのロゴが表示された。彩音は驚き、そして安堵した。少なくとも、このパソコンを使えば、何か手がかりが得られるかもしれない。

デスクトップ画面には、いくつかのアイコンが並んでいた。その中で、ひときわ目を引いたのは、「GOM Player」と書かれたアイコンだった。彩音は記憶を辿った。どこかで聞いたことがある名前だ。確か、動画を再生するためのソフトウェアだったはずだ。

彩音は「GOM Player」を起動してみた。ソフトウェアは正常に起動し、ウィンドウが表示された。ウィンドウには、「ファイルを再生するには、ファイルをドラッグ＆ドロップしてください」というメッセージが表示されている。

彩音はデスクトップ画面に戻り、ファイルを探してみた。すると、「動画」と書かれたフォルダを見つけた。彼女はフォルダを開き、中身を確認した。

フォルダの中には、いくつかの動画ファイルが保存されていた。ファイル名には、数字とアルファベットが羅列されている。彩音は直感的に、これらの動画ファイルが、この場所の秘密を解き明かす鍵になるのではないかと思った。

彼女は、一番ファイル名が短い動画ファイルを選び、「GOM Player」にドラッグ＆ドロップしてみた。動画が再生される。

画面に映し出されたのは、薄暗い部屋の中だった。部屋には、一台のパソコンが置かれており、若い男が座って作業をしている。男は、一心不乱にキーボードを叩き、ディスプレイを見つめている。彩音は息を呑んだ。その男の顔は、どこか見覚えがあるような気がした。

動画は、男がプログラムコードを書いている様子を淡々と映し出していた。時折、男はコーヒーを飲み、タバコを吸い、独り言を呟く。彩音は、その独り言に耳を澄ませた。

「…まだバグが残ってる。早く修正しないと…」
「…締め切りまであと少し。何としても完成させないと…」
「…絶対に、成功させてみせる…」

男の言葉は、焦燥と野心に満ち溢れていた。彩音は、その言葉に、何らかの狂気のようなものを感じた。

動画は、数時間にも及ぶ男の作業風景を記録していた。そして、最後に、男は完成したプログラムを起動した。ディスプレイに、奇妙な図形が表示され、男は満足そうに頷いた。

「…ついに完成した。これで、僕は…」

その瞬間、動画は突然途切れた。画面は真っ暗になり、ノイズが響き渡った。彩音は動揺した。一体、何が起こったのか。

彼女は別の動画ファイルを再生してみた。今度は、男が荒れ果てた部屋の中で、絶望的な表情をしている様子が映し出された。

「…失敗した。何もかも、間違っていた…」
「…このプログラムは、世界を滅ぼしてしまうかもしれない…」
「…誰か、止めてくれ…」

男の言葉は、後悔と恐怖に満ち溢れていた。彩音は愕然とした。一体、男は何を作ってしまったのか。そして、なぜ、自分はこの場所にいるのか。

彼女はさらに別の動画ファイルを再生してみた。今度は、男が狂気に染まった目で、カメラに向かって話しかけている様子が映し出された。

「…この世界は、僕が作ったものだ。僕がルールだ。僕が神だ…」
「…誰にも、僕を止めることはできない…」
「…この世界を、永遠に支配してやる…」

男の言葉は、完全に狂っていた。彩音は、恐怖に震えた。彼女は、この場所の正体を知ってしまった。ここは、男が作った仮想世界だったのだ。そして、彼女は、その世界に閉じ込められてしまったのだ。

彩音は、必死にパソコンの電源を切ろうとした。しかし、何度試しても、電源は切れない。パソコンは、男の意志によって、完全に支配されていた。

彼女は、絶望した。もう、逃げられない。この世界から、抜け出すことはできない。

その時、ディスプレイに、メッセージが表示された。

「…おや、誰か来たようだね…」
「…君は、僕の世界に迷い込んでしまったようだ…」
「…ようこそ、僕の遊園地へ…」

彩音は、恐怖で体が硬直した。男は、彼女の存在に気づいてしまったのだ。そして、男は、彼女を自分の遊び道具にしようとしているのだ。

「…心配しないで。すぐに、君も楽しませてあげるよ…」
「…さあ、ゲームを始めよう…」

ディスプレイに、奇妙な図形が表示された。それは、先程、男が完成させたプログラムの図形だった。図形は、ゆっくりと回転し、彩音の意識を飲み込んでいく。

再び、あの感覚に襲われた。意識が溶け出し、景色が歪み、全身が重力から解放されるような浮遊感。彩音は、男の作ったゲームの世界へと、引きずり込まれていく。

彩音は、抵抗しようとした。しかし、無駄だった。男の力は、あまりにも強大だった。彼女は、男の操り人形のように、ただ、ゲームの世界で踊らされるだけだった。

彼女は、何度も死に、何度も蘇った。男は、彼女の苦痛を嘲笑い、彼女の絶望を糧にした。彩音は、心の底から、男を憎んだ。そして、いつか必ず、男を倒すと誓った。

しかし、どうすれば、男を倒せるのか。彩音には、全く見当がつかなかった。彼女は、ただ、男のゲームの世界で、生き残るために、必死に戦うしかなかった。

そして、いつしか、彩音は、男のゲームの世界に慣れていった。彼女は、男の作ったルールを理解し、そのルールを利用して、男に反撃しようとした。

彼女は、ゲームの世界に存在するバグを探し、そのバグを利用して、男のプログラムを破壊しようとした。彼女は、ゲームの世界に存在するキャラクターたちを味方に引き入れ、男に抵抗しようとした。

しかし、男は、それを全て見抜いていた。男は、彩音の行動を予測し、彼女の試みをことごとく阻止した。

それでも、彩音は諦めなかった。彼女は、男に抵抗し続けた。なぜなら、彼女は、まだ希望を捨てていなかったからだ。

彼女は、男の作った世界を、壊すために、戦い続ける。いつか必ず、男を倒し、この悪夢のような世界から、抜け出すために。

（終）